visualizing.infoでは、恵方巻きをはじめとする「節分の寿司」市場の長期動向を俯瞰するため、総務省「家計調査」二人以上の世帯の「すし(弁当)」(*1) への支出データをもとに市場規模を推計しました(*2)。
当推計では、1月〜2月における「すし(弁当)」への二人以上の世帯全体でみた日別の支出額(*3)から節分の日および節分の日前の突出部分の値を求め、これを「節分の寿司」への支出総額と想定、これを市場規模として算出しています(*4)。
また単身世帯についても参考値として市場規模を推計しております(*5)。
年 | 二人以上の世帯 (億円) |
前年比 (%) |
単身世帯 (億円) ※参考値 |
合計 (億円) ※参考値 |
---|---|---|---|---|
2000 | 55.04 | 9.48 | 64.52 | |
2001 | 52.87 | -3.9 | 9.69 | 62.57 |
2002 | 53.76 | 1.7 | 10.28 | 64.04 |
2003 | 63.49 | 18.1 | 12.41 | 75.90 |
2004 | 76.48 | 20.5 | 13.64 | 90.12 |
2005 | 96.23 | 25.8 | 17.89 | 114.12 |
2006 | 104.22 | 8.3 | 18.75 | 122.97 |
2007 | 112.46 | 7.9 | 21.66 | 134.12 |
2008 | 101.37 | -9.9 | 19.61 | 120.99 |
2009 | 123.92 | 22.2 | 27.67 | 151.59 |
2010 | 136.08 | 9.8 | 31.35 | 167.43 |
2011 | 143.99 | 5.8 | 30.67 | 174.66 |
2012 | 161.89 | 12.4 | 37.13 | 199.02 |
2013 | 149.42 | -7.7 | 34.69 | 184.11 |
2014 | 162.40 | 8.7 | 37.70 | 200.10 |
2015 | 173.11 | 6.6 | 44.06 | 217.17 |
2016 | 190.90 | 10.3 | 49.88 | 240.78 |
2017 | 196.09 | 2.7 | 47.09 | 243.18 |
2018 | 188.08 | -4.1 | 49.58 | 237.67 |
2019 | 172.93 | -8.1 |
*1)「すし(弁当)」には、巻き寿司のほか、にぎり寿司、いなり寿司、ちらし寿司、折詰寿司が含まれます(ただし飲食店以外の持ち帰りのもの。冷凍は除く)。 出所:統計局ホームページ 家計調査 収支項目分類
*2) 恵方巻きは 自爆営業、投げ売り、大量廃棄 の存在もあり、「家計調査」等の需要側からのアプローチのほうが供給側からのアプローチよりも市場規模の実態をより正確に把握できると考えられます。(関連記事:統計局ホームページ 家計調査 家計ミニトピックス 恵方巻への支出 )。過去に公表された恵方巻き関連の市場規模調査として、ミツカン、日本記念日協会によるものがあります。
*3) 1世帯当たりの日別の支出額に世帯数(総務省「労働力調査」でみた、該当月における二人以上の世帯数)を乗じることで算出しています。
*4) 5月、8月、および11月の節分については算出対象外としております(関連記事:春の節分以外における販売)。なお、市場規模の算出にあたっては、データ工房 浅田昭司氏による 科学技術振興機構「情報管理 Vol. 54(2011) No. 9 統計情報活用への招待 第6回 家計の公的統計」の「3.1 クリスマスケーキの市場規模の推定」に記載された市場規模推定法をベースとして用いています。この記事を含む 連載記事:統計情報活用への招待 は各種統計情報を活用する上で大変有用です。
*5) 単身世帯については「家計調査」に上記二人以上の世帯の場合と同様の日別データがなく、唯一利用可能な四半期別データからも節分の日が含まれる1〜3月期の支出額の突出部分の値を求められないため(*6)、二人以上の世帯における市場規模に人口比(*7)と支出比(*8)を乗じることにより市場規模を算出しております。単身世帯における市場規模については、算出のもとにしている「家計調査」での単身世帯に対する調査サンプル数が少ないことが、年によるその値の変動に、二人以上の世帯における市場規模の場合より大きく影響している可能性があります。
*6)「家計調査」単身世帯のデータにおける「すし(弁当)」への1世帯当たり四半期別支出額では、節分の日が含まれる1〜3月期の支出額が4つの四半期のうちで最小となる年が存在するため、集計対象とした全期間について1〜3月期の支出額の突出部分の値を求めることができません。また直近の「家計調査」二人以上の世帯のデータでみると「すし(弁当)」への支出額が顕著に突出する日は、1〜3月期の年始、ひな祭り、4〜6月期のこどもの日、母の日、父の日、7〜9月期の8月13日~15日(旧盆)、10〜12月期のクリスマス・イブ、年末と他にも存在します。データが存在しないため確認できませんが、単身世帯についても同様の傾向がある程度はみられると仮定すると(単身世帯であっても家族的なイベントでの贈答用としての支出はありえます)、1〜3月期の支出額の突出部分の値を求めることができる年であってもそれを「節分の寿司」への支出額と想定する妥当性は低いと考えられます。
*7) 単身世帯人口(総務省「労働力調査」でみた、2月における単身世帯数)を、二人以上の世帯人口(総務省「労働力調査」でみた、2月における二人以上の世帯数に、同月における二人以上の世帯の平均世帯人員数を乗じることで算出)で割ることにより算出しています。
*8)「家計調査」単身世帯の四半期別データにおける「すし(弁当)」への1〜3月期の1世帯人員当たり支出額を、「家計調査」二人以上の世帯のデータにおける「すし(弁当)」への1〜3月期の1世帯人員当たり支出額で割ることにより算出しています。